想い出とパレード

2019年3月8日に開催された『Wake Up, Girls! FINAL LIVE ~想い出のパレード~』はさいたまスーパーアリーナを4時間近くも大熱狂させ7人を活動と共に舞台は幕を閉じた。

 

そんなWake Up, Girls!のファイナルライブが6月28日の今日、Blu-rayとして発売された。

 

彼女たちは最後までだれ一人欠けることなく、聖地さいたまスーパーアリーナで有終の美を飾ったあの姿をもう一度見ることができる。

 

いちファンとしてこれほど嬉しいことはないだろう。

 

 

 

しかし、僕は正直素直には喜べなかった。

 

 

 

Wake Up, Girls!にこれ以上の‘‘先‘‘を見出せなくなる。

3月8日のあの時のように。

終わったのだと教えられてしまう。

 

出会えたかもしれないもっと‘‘先‘‘のWake Up, Girls!を僕は見たかった。

もっと彼女たちを応援していたかった。

「次はない。」そのことを理解してしまうことがとてつもなく悔しかった。

 

 

 

物事には必ず終わりがある。

 

 

 

それでもつい、考えてしまう。

 

このままでは苦しいままだ。

 

Wake Up, Girls!の7人はそれぞれの道を歩み始めているのに何とも情けない話だ。

 

 

 

だからこそ、僕はこの気持ちに整理をつけるためにも一度吐き出してやる必要がある。

 

些末でもいい。

 

今更だっていい。

 

僕の第2章への一歩として、Wake Up, Girls!との想い出を文字にしてみようか。

 

 

 

 

 

Wake Up, Girls!を知るきっかけは以前から聞いていた『Fate/Grand Order カルデア・ラジオ局』(現在はFate/Grand Order カルデア・ラジオ局Plusにタイトルが変更されている)だった。

 

この番組は高橋李依さんと田中美海さんの2人がMCとして(後に大久保瑠美さんもMCに加わった)、Fate/Grand Orderの最新情報はもちろん、ゲームの楽しさ、おもしろさをその身を捧げて探索し伝えていくラジオ番組だ。(番組より一部抜粋)

 

自称声優好きな僕だったが田中さんのことは全く知らず、FGOが大好きな文化放送スタッフだと思っていたくらいに田中さんにも、そしてWake Up, Girls!の知識もなかった。

 

そんな状態だったが、とある回で田中さんの「実はアイドルなんです~」という発言を聞き、少し興味を持ち彼女を簡単に調べてみた。

 

そこで僕は初めて「彼女が声優であること」、「デビュー当初からWake Up, Girls!というユニットとして活動していること」を知った。

 

殆ど自分と歳が変わらないのに、声優とアイドルの両立をしていて更にラジオまでやっているのだからこの人はきっと凄いのだろう。

活動当初から続けているユニットならなおのこと凄いものが見られるのではないか?

 

間接的だが僕がWake Up, Girls!に興味を持ったタイミングだった。

さらに言えば解散発表の数日前のことでもあった。

 

 

 

 

 

 

2018年6月15日。

 

Wake Up, Girls!が解散を発表した。

 

気になり始めてまもなくのことだった。

Wake Up, Girls!にどこから触れていこうか、なにから見ればいいのか、なにをすればいいのか…

探り始めの「ああでもないこうでもない」をしていた時期に食らったニュースだった。

 

なんでこのタイミングなのか。

 

これから知ろうとするものは、これから終わろうとしている。

今から知るのは遅すぎるのでは?と言われているようだった。

 

知ろうとすることを止めようかとも思った。

これから終わるコンテンツなんか、といった思いが一瞬頭によぎった。

 

 

 

ただ、その時の僕は結構な対応を見せてくれた。

 

まず解散について彼女たちが自分の思いを語った動画を見たのだ。

見ようとするか、そのまま切ってしまうのかを彼女たちから判断して決めようとしていた。

 

見てみると、彼女たちがカメラの前では涙を見せないように歯を食いしばりながらコメントしていた。

そもそもメンバーの名前と顔も一致していない僕はその悲しさこそ共感できなかったが、彼女たちの辛辣な表情からWake Up, Girls!は彼女たちの中で大切なものであると推し量り、どれほどのものなのかを知るためにもWake Up, Girls!のライブに行くことにしたのだった。

 

Wake Up, Girls!が自分の好きなものかは分からない。

でも知らずに後悔はしたくない。

彼女たちがWake Up, Girls!である内にWake Up, Girls!を見ておこう。

見てからいいか悪いかを決めてもいいじゃないか。

彼女たちの姿に心打たれていた。

 

 

 

 

 

 

ちなみにだが、僕が自分のことをどんなオタクかを語るなら「とても浅い」の一言に尽きる。

好きなものでもグッズには興味がない。アニラジ・番組は無料パートまで。イベントやライブなんかは行こうと思ったことさえない。

アニメと声優さんは好きだったが、自分から動いてどうこうという気にはならなかった。

在宅とかそんな次元じゃないくらいに浅かった。

 

だからこそ自分が誰に言われるでもなくライブに行こうとしていることに我ながら驚いていた。

しかもいわゆるアイドルのライブに、だ。

 

高校生の時に「アイドル好きな奴は夢見すぎている。」とドルヲタを罵っていたプライドだけは立派だった僕(自分はアニオタ兼声豚ということを差し置き)が聞いたら驚愕するだろう。

たかがライブに行くことを決めただけなのだが、僕的にそれは結構な大事だった。

 

 

 

 

 

 

そんなわけで僕は何とか器材開放席のチケットを入手し、ライブのいろはを教えてくれる友達を引き連れWake Up, Girls!のライブに向ったのだった。

 

向かう先は神奈川県座間市ハーモニーホール座間

2018年6月28~29日に行われたWake Up, Girls!FINAL TOUR-HOME- partⅠ 神奈川 座間公演。

その中でも僕がチケットを取ったのは2日目昼公演だった。

 

地元から新幹線と電車で目的地まで向かう。

 

近づくにつれてWake Up, Girls!のライブTシャツを着た人が増えていく。

最寄り駅から会場まで一列になって歩き出す人たちがいる。

会場につけば自分の推しの色の法被やパーカ着ている人でごった返している。

 

ライブに通いなれている人からすればなんてことのないことなのだろうけど、ライブ未経験者の僕には異様だった。

が、この人たちもWake Up, Girls!のライブを楽しみにして来ているのかと思うとワクワクしていたのも事実だった。

 

入場時間になれば今まで自由にしていたオタクたちは整列しどんどんと人が中に入っていく。

僕たちも整列し入場する。

チケットに書かれていた僕たちの座席は一番後ろの席だった。

友達は「結構遠いね」と気にかけてくれたが、僕は全然問題にしていなかった。

早く生でWake Up, Girls!を見てみたくてしょうがなかった。

 

まだかまだかと緊張しながら待っていたその時、

 

山寺宏一さんのよく通る声が会場を埋める。

前振りが始まったのだ。

はやくWake Up, Girls!に合いたいと更に欲求を掻き立てられる。

最後の文言が終わり、少しの間が空いたと思ったその瞬間。

 

幕が開くとともに始まる彼女たちの歌声と鳴り響くBGM。

僕のHOMEツアーが始まった。

Wake Up, Girls!が歌っている。

Wake Up, Girls!が踊っている。

周りの人たちも大きな声を出しながら盛り上がっている。

そんな普段の生活からかけ離れた状況に自分の中でアツい感情がこみ上げてくる。

僕もその中に混ぜてほしい。

いつの間にかペンライトを思いっきり振ってほとんど叫び声みたいな声援を送っていた。

 

今、僕はWake Up, Girls!を実際に見ているのだ。

会場の雰囲気に魅了され、完全にライブの虜になってしまっていた。

 

それからライブが終わるまで僕は夢心地だった。

他のことなんてどうでもよくなっていた。

興奮が止まらなかった。

 

僕がワグナーになった瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

そこから僕の沼っぷりは目を見張るものがあった。

Wake Up, Girls!のアルバムを買い、BDを買い、DVDを買い、空いた時間を見つけては鑑賞する。

Wake Up, Girls!のラジオや番組をリアルタイムで追いかける。

わぐらぶに勢いで入会する。

今まで知らなかった分のWake Up, Girls!を補うように情報を得ようとしていた。

 

飽き性な性格なので、こんなにも何かにハマることは珍しかった。

しかし、不思議と飽きは来なかった。

 

 

当時は金銭的にあまり余裕がなく、苦学生でありながらもなんとかお金を工面してpart1は神奈川、part2は大阪、part3は大阪、長野、仙台とわぐりすらんにも行くことができた。

 

そして勿論、SSAにも立ち会うことができた。

 

最近ではツイッターを漁り、メンバーのつぶやきが数少ない一日の楽しみにしている。

 

そして、現在に至る。

 

これが僕というただのワグナーの経歴だ。

 

 

 

 

 

 

浅いオタクな僕だが、Wake Up, Girls!に対してそれなりに真剣に向き合えたような気がしていた。

 

 

 

なぜこんなにもWake Up, Girls!にハマってしまったのか。

 

ライブに行き始めた頃は単純にWake Up, Girls!が好きだったというよりはライブが楽しかったという側面が大きかったような気がする。

 

ただ、ライブを重ねたりいろんなメディアでWake Up, Girls!を知ることで彼女たちの境遇や現状にめげずに‘‘WUGらしさ‘‘を追求しながらライブをしている彼女たちは輝いて見えた。

関係者の大人たちが次々と離れていきコンテンツとして破綻しているような状況でも、自分たちは何ができるのだろう?と奮闘しながらもそれを形にしていく。

夢に向かってひたむきに突き進む。

年の近い人たちがこんなにも自分たちの夢に向かって頑張っている。立ちはだかる高い困難という壁を自らの力で乗り越えようとしている。なんて強い人たちなのだろうか。

僕には彼女たちのその姿がひどくかっこよく見えていた。

 

僕がWake Up, Girls!を知るタイミングもハマる要因の一つだったのだろう。

ただ可愛いだけのWake Up, Girls!ではそこまで惹かれなかったのではないかと思っている。

もちろん可愛さだって魅力的なのだが、「解散」することを受け止め残りの活動を真摯に取り組もうとする「必死だけどどこか凛としている立ち振る舞い」を見て取れたからこそあんなにも入れあげることができたのだと思う。

 

解散前の活動は肌身で感じていないので何とも言えないが、解散という事実を受け入れてからの活動は目覚ましかったと思う。

毎週末のようにツアーを行い歌やダンスの練度を上げていたあの日々。

今になって思えばWake Up, Girls!早くに真剣になっていればまだいける公演はあっただろうし行きたかった公演はまだまだたくさんあったのでもっともっと好きになれる余地はあったのだろうと考えると惜しいことをした。

タイムスリップ出来たら岩手公演と熊本公演と徳島公演は無理してでも行こうとするだろう。

 

行けたライブの数は少なくても、WUGの良さはしっかりと伝わってきた。

神奈川公演の時は解散よりも‘‘WUGらしさ‘‘を重点に置いて行われていた。

カラオケ企画なんかはそこが顕著に表れていて、好きな曲で好きに歌って好きに踊っている姿は自由にふるまうことで外部からの「圧力」みたいなものがない、そのまんまのWUGを見ることができた気がする。

あのアーティストとしてではなく、7人の女の子として表現されていたからこそ惹かれた部分も十分にあった。

 

逆に仙台公演では解散を強く意識してパフォーマンスされていた。

その時のWUGちゃんたちは歌に感情がこもりすぎて言葉尻が強くなったりシャウトみたいな歌い方をしていた。

あれはもはやワグナーに見せるためのものではなかったのかもしれない。

「まだ終わりたくない」「まだできる」という心の叫びが声になったものだと思う。

それくらいに1フレーズに重みがあった。

彼女たちはWUGであることを誇りに思っているんだな、と思い知らされたのが分かった途端聴いているのが苦しくなるくらいに彼女たちの思いは僕に刺さっていた。

 

SSA公演の前も生放送などで精力的に宣伝をしていたのも印象的だった。

彼女たちの一生懸命さが伝わってきたし、そのおかげもあってかSSAは満員御礼で大成功を収めていた。

 

そしてSSA本番。今までのすべてが混ざり合ったような、最後を飾るに相応しいものだった。

あの公演に‘‘WUGらしさ‘‘が詰まっていた。

座間の時のWUGも仙台の時のWUGもその間のWUGもHOMEツアー以前のWUGも全部が一つになってSSAのWake Up, Girls!を作り上げていたことだろう。

最後なんて何も考えることができずにただただ「ありがとう…」を連呼していた。

僕の語彙力ではとてもじゃないけど表しきれない。

ただただ最高のライブだった。

 

 

 

結局僕はWake Up, Girls!に憧れていたのだろう。

大きなアイドルグループにありがちな誰かに作ってもらったスロープの上で正解を出し続けるのではなく、正解が存在しないあぜ道の上でも自らの足で進もうとした、自らで自らを表現していたWake Up, Girls!に魅せられてしまっていた。

きっとそういうことなのだろう。

 

 

 

 

 

 

こうやって自分のWake Up, Girls!に関しての今までや感じていたことを振り返ってみるととてもすっきりすることができた。

やっぱり僕はWake Up, Girls!が大好きだった。

Wake Up, Girls!が解散してへんに落ち込んだりもしていたが、Wake Up, Girls!との想い出は消えることなく残っている。

 

Wake Up, Girls!のその‘‘先‘‘を見ることは無くなってしまったけれど、Wake Up, Girls!だった7人が解散すらも糧にして更なる活躍していく姿を僕は見ることができる。

なにも悲観することではなかったのだ。

 

最後は7人の健闘を祈って、ただのワグナーとしてエールを送って締めようと思う。

 

「行くぞ!!」「がんばっぺ!!」「Wake Up, Girls!」